スペシャルコラム|茶方會に学ぶ、玉露の美味しい淹れ方 18.07.06

スペシャルコラム|茶方會に学ぶ、玉露の美味しい淹れ方

Sゝゝ[エス]茶道具展 ー茶の流儀 茶方會ーでは、会期中に茶方會の茶を愉しむ会を開催いたしました。Sゝゝ[エス]の茶道具を使って玉露の美味しい淹れ方をご紹介します。

玉露の特徴は、その栽培方法にあります。
新芽が少し開き始めたタイミングで被覆栽培(茶畑に覆いをして日光を遮断して栽培すること)によってできたお茶が玉露と呼ばれます。被覆栽培をすることでうま味成分のテアニンなどが増加し、渋みの素であるカテキン等が減少します。この栽培方法によって独特の香りをもつ茶葉が採れるのです。
旨味の奥深さをより引き出すには、お湯の温度や抽出時間がポイントとなります。

  • ①今回は6名に対して9gの玉露を用意。道具は宝瓶と湯冷まし、茶杯を使います。玉露はうま味成分のテアニンを引き立てながら、苦みや渋みを抑えるためお湯の温度調整が大切です。そのため、湯冷ましを用意しておくと便利です。

    ②まず宝瓶にお湯を注ぎ、その湯を湯冷ましに移します。温めた宝瓶に玉露をいれ、湯冷ましした湯(1煎目は30℃が目安)を注ぎます。1煎目は玉露が湯を吸収するので、お湯の量はその分の減りを考慮してください。

    ③茶杯にも少し湯を注ぎ、この間に温めておくのがおすすめです。

  • ④1煎目の玉露の抽出時間は約3分。宝瓶の蓋をずらして、最後の一滴までを各茶杯に廻し注ぎます。1煎目は少量の湯に玉露のうま味が特に際立って抽出されています。  

    ⑤2煎目も同様に湯冷ましした湯(30℃)を使用し、抽出時間は同じく3分が目安です。1煎目に比べ、うま味に玉露特有の苦味や渋みが感じられる味わいです。

    ⑥3煎目は75℃の湯を使い、抽出時間は1分。より苦味や渋みが抽出され、お茶菓子と合わせて楽しむのも良いでしょう。

  • 左から1煎目、2煎目、3煎目。徐々に緑の濃さが際立ちます。

  • お茶菓子はHIGASHIYAのひと口果子、鳥の子をいただきました。濃厚な蜂蜜羹がさわやかな刺激の生姜入り白餡で包まれています。

  • ⑦今回、4煎目は大葉とすだちのブレンド茶で味わいます。氷をいれた片口にちぎった大葉とすだちを絞りながら皮ごと入れます。

    ⑧宝瓶の玉露には90℃の湯を入れ約20秒抽出したら、⑦の片口に注ぎます。マドラーで全体をしっかりとかき混ぜ、全体が冷えたらガラスのグラスに注いで完成です。

  • 冷茶用に開発したグラスを使用。秋の販売開始に向けてイベントでは先行展示予約を受け付けています。お菓子は季節の果物、甘夏を使用した道明寺羹です。

  • ⑨抽出し終えた玉露は、茶葉に栄養分がまだまだ残っています。ポン酢や塩を少し加えて、茶葉そのものを味わうのも一興。シャキシャキとした食感の茶葉は、料理にアレンジもきくのでぜひお試しください。

    茶葉が動くと雑味が出やすい玉露には宝瓶が最適です。今回はSゝゝ[エス]の宝瓶や湯のみを使用しました。Sゝゝ[エス]の白い陶磁器の道具は、玉露の美しい緑色を目で楽しむのにもおすすめの道具です。

    Photo by Kazuhiro Shiraishi

  • Sゝゝ[エス]

    SIMPLICITYのプロダクトブランドとして、2003年に設立。日本が誇る伝統技術をもつ職人の方々とともに、現代における「生活道具の創造」に取り組んでいます。過去から現在、そして現在から未来へと、日本の伝統文化を繋ぐべく、世界へ向けた上質で豊かな暮らしを提案していきます。
    www.sss-s.jp

  • 茶方會

    茶を通して世界とつながり、茶の発展に貢献していくことを目的に、一般社団法人として2016年に設立。「術(すべ)」「 間(かん)」「味(あじ)」の調和が織りなす茶の様式を創造し、茶方會の流儀として継承しています。原点は2003年に開店した「HIGASHIYA」にあり、現在この流儀は「八雲茶寮」、「HIGASHIYA GINZA」、そして「櫻井焙茶研究所」、「万(よろず)」へと受け継がれています。
    www.saboe.jp

  • SIMPLICITY

    1998年設立。「現代における日本の文化創造」をコンセプトに、和食料理店「八雲茶寮」「HIGASHI-YAMA Tokyo」、和菓子店「HIGASHIYA」、プロダクトブランド「Sゝゝ[エス]」などを展開。自社ブランドのみなら ず、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックなど多岐にわたるプロジェクトにおいて、デザインやディレクションを行う。
    www.simplicity.co.jp