スペシャルインタビュー | 前田有紀さんに聞く、花のある生活の楽しみ方 19.06.19

スペシャルインタビュー | 前田有紀さんに聞く、花のある生活の楽しみ方

現在開催中の「Vitra Home Stories with Beautiful Flowers」で、パリをイメージしたアレンジメントを飾っていただいたフラワーアーティスト前田有紀さんに、花の仕事に対する思いや、部屋を彩り豊かに魅せるコツをお聞きしました。

  • ― 人気アナウンサーから花の世界へ転身された前田さんですが、どのようなきっかけがあったのですか?

    子供の頃から緑や花が大好きで、自然にまつわる仕事がしたいなと漠然と思っていました。テレビ局に勤務していた頃は本当に毎日が忙しくて。息抜きする時間を大切にするようになり、スーパーのレジ横にあった花を会社帰りに購入して、飾ってみたことがはじまりでした。
    一輪飾るだけでも部屋を明るく華やかに変える力があって、いつの間にか花を生けることが日々の癒しになっていました。気がついたらもっと深い世界まで突き詰めたい、と自然と花の道に進んでみようと思うようになっていましたね。

    ― イギリスに留学されていたそうですが、そこで感じたこと、また学んだことを教えていただけますか?

    半年間ほどロンドンと地方都市2箇所で、インターンをしながら活動していました。ロンドンは都会の中でも自然がたくさんあって、ゆったりと公園で過ごしている人も多く、人と自然の距離が近いなと感じました。街でも花を持ち歩く人をよく見かけましたね。日本では花を贈ることは特別なお祝い事という雰囲気がありますが、日常的に自分の部屋に飾ったり、気軽に人に贈る文化なんですよね。
    帰国してから、自然のある暮らしを都会の人にも提案するということを大事にしようと思いました。今回、このようなインテリアショップで花を紹介できるのも貴重な機会です。日本でも一輪から花を楽しむお客様が増えたらいいなと思います。

  • ― ショップを持たない移動花屋として活動されていますが、そのようなスタイルを選ばれた理由は?またやりがいについても聞かせてください。

    帰国後は都内の花屋で修行していたのですが、いつか独立して自分の世界観で演出したいなというのはずっと思っていました。妊娠出産を機に、今がその時かもしれないと思い独立をしました。
    花屋にいると、たくさん可愛い花を用意して待っていても、興味がなければ入店することなく通り過ぎていってしまうこともありました。独立後にあらためて自分の方向性を見つめた時、もっと気軽に人の目に触れるところに素敵な花を用意して、立ち止まってもらいたいと感じたんです。

    そこで、『花とあなたが出会う場所』づくりというコンセプトを掲げ、色々な場所で移動販売をはじめました。「こんな所にお花屋さんあった?」と言われるくらいたくさんの花を持って、お店の空間に合わせたテーマで出店しています。新しいコラボレーションが毎回楽しいですね。移動販売で出会った方がご自宅に帰った時に、近くの花屋さんでまた花を買ってくれたら嬉しいなと思いを込めながら活動しています。

  • ― 今回のVitraの家具を使った展示のテーマはコンパクトなLDKで快適に暮らすことですが、花を飾るにあたって意識されたことは何ですか?

    展示のイメージがパリということで、ソファーの色と合わせて「赤」をキーカラーに設定。シックで華やかさもある雰囲気を意識しました。でも、夏場の赤はともすると暑苦しくなってしまいます。鮮やかな色も涼しげな草花のグリーンと表情を合わせて、「涼やかな赤」にチャレンジしました。
    ダイニングエリアも柔らかく揺れるようなグリーンを少し入れるだけで花の強さが和らぎ、空間に馴染みやすくなります。お家でもグリーンを上手く取り入れるのが花を可愛く飾るコツかなと思います。

  • ― 初夏の季節におすすめの花はありますか?

    これからの季節、蘭は花もちが良くておすすめです。一輪活けるだけでも様になるのも魅力ですね。他には、アレンジメントでよく使うアルストロメリアも、暑い中でも長期間楽しめますし、色んな方向に花が咲いているので一輪で活けても個性が出ます。

    ― 花を選ぶ時のコツや飾るポイントなどおすすめの方法はありますか?

    花を選ぶ時、たくさん種類があるので迷うと思うんですね。ですので、花屋に行く前にテーマを持つことが大事。例えば、週末に来客があるなら色鮮やかな花を選んでみたり、忙しかった自分のためにという時はグリーンを多めにセレクトしたり。その時々でテーマを設定してから花屋に行くと選びやすいと思います。

    今人気のドライフラワーは生花と同じように活けても楽しいですけど、今回のディスプレイのように、押し花にしてフレームに入れたり、お気に入りのカゴに挿したり。インテリアと掛け合わせるというのは飾り方としておすすめです。生花でできないことを思い切り楽しめることがドライフラワーの良さですね。

  • ― ベースを選ぶ時のポイントはありますか?

    クリアなベースはもちろん使いやすいのですが、一方でちょっと面白みも足りなかったりするので、ブラックやホワイトなどモノトーンはインテリアに馴染みやすくておすすめです。あとは、背の低いベース。目線が低いので食卓の真ん中に置くのにも適していて皆から眺められるのがいいですね。
    個性的なベースでも自分が好きなデザインだと愛着もわくので、色々試して飾ってみると良いのではないでしょうか。何に活けようかなと考える時間も楽しみになりますよ。

  • ― 6/22(土)、23(日)には移動花屋として出店してくださいますが、何かメッセージはありますか?

    今回は「器と花」をテーマに、器に合うお花をセレクトするという所をポイントにしています。様々な形のお花をたくさんご用意して、長く楽しむポイントやフラワーベースとの相性などのアドバイスも添えてお渡ししたいですね。
    ぜひ、このインテリアと花の空間を楽しみに来ていただけたら嬉しいです。


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    『gui』移動花屋
    リビング・モティーフ1F店内に、週末だけの花屋が出現します!
    日時: 6月22日(土)12:00〜17:00
        6月23日(日)12:00〜17:00

    『gui』ワークショップ
    吊るしたり、立てかけたりして気軽に飾れるフラワーワックスバーを作ります。
    日時:6月22日(土) ①13:00〜14:00 / ②15:00〜16:00
       6月23日(日) ①13:00〜14:00 / ②15:00〜16:00
    定員:各回8名
    参加費:¥3,240
    お申込先:https://gui-flower.shop

    Vitra Home Stories with Beautiful Flowers
    7月10日(水)までのイベント詳細はこちら
    https://www.livingmotif.com/news/190607_01

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    前田有紀
    guiブランドプロデューサー。神奈川県出身。テレビ局勤務を経て、イギリス留学。3年間の花屋勤務を経て独立。
    株式会社スードリーを設立し、「花とあなたが出会う場所」をコンセプトにお店を持たない移動花屋「gui」を立ち上げる。これまで花がなかった場所に花を持ち出して、たくさんの人と花が出会う場を創り出しています。

    https://gui-flower.com